私は最高齢と思いきや……活力をもらえたデリヘル
H.N. バルカンパンチ No.044
近頃の若者は、実に視野が狭いと私は思っている。ゆとり世代という言葉もあったが、その余波はなくなるどころか、さらに増しているのではないかと感じるほどだ。すぐに「病んだ」だの、「1年未満で仕事を辞めた」だの、根性がない。
そのような話題を、歳の近い同僚と、若い部下と飲みの席で話していた。さらに、「草食性を超えた絶食性男子」もいるようで、女性もがっかりだろうなと続けた。すると30代の部下が「でも◯◯さん(私のこと)だって、お一人になってから、女性には消極的じゃないですか、夜の営みもご無沙汰なんでしょう?」という言葉を受け、ギクリとした。
確かに……私はバツが2つも付いていて、異性には自信喪失していたのである。厳密に言うと、恋愛を新たにする気力が湧かない。しかし、まだ「じじい」には到達していないので、性欲だけは一丁前に持っているのだ。
後日、60代の常務から「ワハハ、わしなんて精力増強剤に頼りながら風俗に行っているぞ」と言われ仰天する。人生を謳歌しているじゃないか、だから還暦を過ぎても肌艶が良いのだなと、正直にそう思った。その影響からか、風俗も悪くないのかと妄想を始める。
意識をし始めてから、私は女子社員でスリットが入った子の脚元を見てしまうようになり、どうやらムラムラする欲求も芽生えてきた。これはまずいと思い、居ても立ってもいられなくなり風俗店をネットで探すようになった。
40代だと私の前妻が頭をよぎりそうだし、20代だとあまりにピチピチしすぎていて気が引ける。ということで中間をとって30代後半をターゲットにし、美熟女を探した。
時代は男の欲求をよく知っていると言わんばかりに、私が求めている風俗のデリヘル店が苦労なく見つかった。デリヘルに興味を覚えたのは女性の質が一番だが、システムがまた良い。
私のような中年どころか四捨五入で還暦近い者だと、店へ出向くこと自体が億劫になるのだ。私は、風俗利用という初めての試みにもかかわらず、心がとてもウキウキ気分だった。
ラブホテルへと入りスマートフォンを再度チェック。店は目星を付けていたので、狙い通りの30代デリヘル嬢をオーダーしてみた。よく考えれば自宅を出る前に予約をするべきだったが、幸いにもお目当てのレディの予約が取れた。
待つこと数十分、コールしたYさんは、女形劇団に所属しているかのような造形美にあふれた顔立ち。例えると刑事モノドラマで、ストロングな性格で主役を引っ張るヒロインのような、くっきりかつクールな顔立ちの美人である。
「こんな美人な人とは! 写真の200倍は素敵です」と、20歳は年下なのに敬語を使ってしまった。
「お世辞がお上手ですね、私、そんなにイイ女じゃないですよ」と謙遜するも、はにかむ笑顔がたまらない。
また胸元が開いたワンピースだったので、私の欲もぐんぐんと上がっていく。そんな私の目線は早々に見抜かれ、「もっと見たいですか?なら、シャワーを浴びましょう」と、「じじい」寸前の私の手を引っ張っていってくれる彼女。
バスルームでは「僕が最高齢じゃないですか?」と率直な意見を述べたが「え?最高齢だと70歳のお客様もいますよ。でも、歳や外見じゃなく、紳士的に接してくれるなら私は一切気にしません」と、意外な業界話も伺えた。
そうしてルームへ戻り、ベッドで待っていたらYさんが私に馬乗りというアクションに乗り出す。「おお……」と大胆な行動に驚いていると、すかさず「おやじ」な私の唇へキスのプレゼント。さらに舌を入れてきて、いわゆる「ディープキス」の体験なのだが、絡める舌は控えめさが皆無で、サービス精神に大きく感動する。
実は恥ずかしい話、胸元のムダ毛処理をしておらず、乳毛が生えていたことを後悔した。しかしYさんは、嫌がる素振りを見せず舌を使い舐めてくれる。そして尺八に移ったのだが、プロフェッショナルのテクニックは圧巻だった。
こんなにも快感度が高いのならなぜもっとデリヘルを使わなかったのかと、悔やみながらも本能は喜ぶという、まさに世界はアナザーワールド。フィニッシュは素股という、息子を女性器へ挿入したかと思えるほどのプレイだ。凄まじいほどの勢いで射精をし、デリヘルの利用をして良かったと心から感じる。
ただ相手のためにも、もう少し歳が近い嬢を探す必要があるか、そう考えていたら「私で満足してくれたなら、ぜひもう1度」という心にしみる言葉を頂いた。これから60歳になるまで、いや60を過ぎても時々は利用しようと思っている私なのである。